就労継続支援B型「ファースト」からA型「ここのわ」へステップアップするまで

「働きたい気持ちはある。でも、外に出るのが怖い」
「行っても続かなかったらどうしよう」
「周りに迷惑をかけるかもしれない」

就労継続支援B型事業所を検討している方の多くが、最初に感じるのは“期待”よりも“こわさ”かもしれません。
でも、その不安は決して特別なものではありません。

今回お話を伺った佐藤さん(仮名・30代)も、最初は「通うだけで精一杯」だったと言います。
通い始めたのは、CDやDVDのプラスチックを再資源化するリサイクル作業に取り組む、就労継続支援B型事業所「ファースト」でした。
そこから少しずつ通所を続け、現在は就労継続支援A型事業所「ここのわ」で働いています。

この記事が、いま迷っているあなたにとって、少しでも心の負担が軽くなる材料になれば幸いです。

※本記事はファーストやここのわで働く方々のいくつかの実話をもとに、制度理解のために再構成した事例です。


プロフィール

  • お名前:佐藤さん(仮名)
  • 年代:30代前半
  • 利用歴:就労継続支援B型事業所「ファースト」 1年8か月 → 就労継続支援A型事業所「ここのわ」 7か月
  • 業務領域:CD・DVDのプラスチックリサイクル(分別・解体・破砕前処理 等)
  • 通所頻度:週2日から開始 → 週5日へ

いまの働き方について

――現在、A型事業所ではどんなお仕事をしていますか?

佐藤さん:
A型事業所でも、CDやDVDのプラスチックリサイクルに関わる作業をしています。
具体的には、回収されたメディアの仕分けをしたり、ケースを分解したり、ラベル部分を剥がしたり。
その後の破砕・再資源化の工程に回せる状態に整える“前処理”が私たちの役割です。

――同じリサイクル業務でも、B型とA型で違いはありますか?

佐藤さん:
B型ではまず「作業に慣れる」「安全に作業する」が中心だったんですけど、A型では「時間」「段取り」「品質」をより意識するようになりました。
同じ作業でも、仕事としての責任が増える感じはあります。

――A型事業所に移って、生活は変わりましたか?

佐藤さん:
生活の軸ができました。
リサイクルって、“毎日ちゃんと流れていく工程”があるので、
私自身も「今日の分をやり切る」「明日に繋げる」みたいな感覚が持てるようになりました。
お給料が入るのも嬉しいですし、「社会の役に立っている」実感があります。

「まずは通えるか不安」だった

――B型事業所に通う前、どんな不安がありましたか?

佐藤さん:
全部です。
「人が苦手だから続かないかも」「体調が悪くなって迷惑をかけるかも」
「途中で辞めたら、また自分が嫌いになりそう」
行く前から、うまくいかなかった未来ばかり想像していました。

――作業内容(リサイクル)は魅力に感じましたか?

佐藤さん:
それはありました。
捨てられるはずだったCDやDVDが、分解されて、再資源化されていく。
その工程の一部でも関われるのは「意味がある」と感じました。
ただ、意味があっても、通えるかは別問題で……。

最初は週2日。それでも“前進”だった

――B型事業所を選んだ理由は?

佐藤さん:
B型事業所は「まずは通うところからでいい」と言われて、気持ちが楽になったんです。
リサイクル作業は手順が決まっていて、作業が分解されているので、私みたいに自信がない人でも「この工程だけならできるかも」と思えたのも大きかったです。

――通い始めた頃はどんな感じでしたか?

佐藤さん:
週2日からです。
当日は緊張でお腹が痛くなったりして、行くだけで精一杯。
作業も最初は、ケースの分別やシール貼りなど、比較的簡単な工程から始めました。

――続けられた理由は?

佐藤さん:
支援員さんが、欠席しても責めなかったんです。
「今日は休もう」と連絡するときがいちばん苦しいのに、「連絡できたことが大事です」って言ってくれて。
それで、“ダメな自分”じゃなくて、“調整しながら続ける自分”でいいと思えました。

――しんどさを伝えるのは難しかったですか?

佐藤さん:
難しかったです。
機械の音が大きい作業場だと、それだけで疲れてしまう日もあるし、手先がうまく動かなくて作業が遅れて焦る日もあります。
でも「言ったら嫌われる」と思っていました。

支援員さんが「早めに言ってくれた方が調整できるよ」と何度も言ってくれて、少しずつ相談できるようになりました。

B型で身についたのは“技術”より“土台”

――B型で得られたものは?

佐藤さん:
まず生活が整いました。

  • 朝起きる時間が少しずつ一定になった
  • 「通える日」が増えた
  • 作業手順を覚えて落ち着いて進められるようになった
  • 体調が悪くなる前に相談できるようになった

リサイクル作業って、同じ工程を繰り返す部分もあるので、繰り返しの中で「できた」を積み上げやすかったです。
それが自信につながりました。

A型を意識したのは「自信がついてから」ではなかった

――A型事業所へ移ろうと思ったきっかけは?

佐藤さん:
支援員さんに「A型も見学してみる?」って言われたことです。
自信があったわけじゃないです。不安は残っていました。

でも、リサイクルの仕事を続けるうちに
「作業が楽しい」「もう少し責任を持ってやってみたい」
そんな気持ちが出てきました。

――A型で大変だったことは?

佐藤さん:
スピードと段取りです。
回収された量に波があるので、「今日は分別を優先」「今日は解体を優先」と、日によって段取りが変わります。
最初は焦ってミスしました。

でも、手順をメモして、確認ポイントを決めて、
“仕組みで続ける”ようにしたら安定しました。

迷っている人へ伝えたいこと

――B型事業所を検討している人に、伝えたいことは?

佐藤さん:
不安があるのは普通だと思います。
私も「無理かも」と思いながら始めました。

でも、B型事業所は“最初から頑張れる人”の場所じゃなくて、頑張れない日がある前提で、続け方を一緒に探す場所だと思います。

あと、リサイクル作業は「世の中の役に立つ」実感が得やすいので、自分の存在を少し肯定できるようになりました。

B型は「いきなり働く」ではなく「働ける形を作る」場所

就労継続支援B型事業所は、“働く前の準備”をする場所と言われます。

でも実際にはもっとやさしく、「生活を整えながら、社会とつながり直す場所」なのかもしれません。

佐藤さんも、強かったわけではありません。
不安なまま始め、休みながら、相談しながら、「続けられる形」を少しずつ作ってきました。

もし今、迷っているなら――
その迷いは、進もうとしている証拠かもしれません。

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